宮崎県中小企業団体中央会

組合事務マニュアル

組合への加入

加入とは?

 加入とは、組合と組合に加入しようとする者との間で結ばれる契約であり、加入しようとする者の加入の意思表示(申込み)とこれに対する組合の承諾とによって成立します。
 組合は、加入しようとする者が組合の定款に定めた組合員資格の要件を充たしている場合、「正当な理由」がなく加入を拒むことはできず、理事会で加入の承認を行います。
 また、加入にあたって、その者に現在の組合員が加入する際に付された条件よりも困難な条件、たとえば、「不当な権利金的な加入金を徴収する」、「現在の組合員が保有する以上の口数の出資を要求する」、あるいは「不当に多額の経費負荷を要求する」などといった条件を付することは許されません。
 

加入の種類と申込手続

 加入には、「原始加入」「持分承継加入」の二つがあります。
 また、加入の申込みは、加入しようとする者から「加入申込書」を組合に提出させることにより行います。

1.原始加入とは?

 原始加入とは、組合員資格を有する者が新たに組合に対して出資の払込みを行って加入するもので、一般的な加入の方法です。この場合、組合に対して「加入申込書」を提出してもらいます。

2.持分承継加入とは?

 持分承継加入とは、既存の組合員の有している持分の全部又は一部を承継することによって組合員となるもので、「相続加入」「譲受加入」に区分されます。

(1) 相続加入
 相続加入は、組合員が死亡することによってその相続人が死亡した組合員の持分を承継するものです
 相続加入の場合は、死亡した組合員の持分を相続した旨を「相続による加入申込書」に記載のうえ、 定款に定められた期間内(定款参考例では、相続開始後30日以内)に組合に提出してもらいます。

 相続人が2人以上の場合は、自身が選定された相続人であることを証明するため「相続人である旨を証する書面」を加入申込書に添付します。 これは、組合員の持分を共有することが認められていないためです。

(2) 譲受加入
 譲受加入は、持分譲渡によって譲受人が譲渡人たる組合員の持分を承継するものです。
 この場合は、「持分譲受けによる加入申込書」の提出及び、あらかじめ譲渡組合員から「持分譲渡承認願」を提出してもらいます。
 

加入の承諾と成立

 組合は、持分譲渡承認願及び加入申込書の提出を受けたときは、定款の定めるところに従い、直ちに総会又は理事会を招集して、新規加入及び持分譲渡の諾否を決しなければなりません。
 加入を承認した場合は、「加入承認書」をすみやかに加入申込者に通知します。
 原始加入では、加入申込者は、引き受けた出資金及び加入金のある場合は加入金の払込みを完了したときに、組合員としての地位を取得します。組合は、出資の払込みがあったときは、直ちに組合員に「出資証券」を発行することが望ましいでしょう。

 一方、持分承継加入においては、「出資証券の書換え」を行います。

 なお、この出資証券は、あくまでも組合員が組合に対して有する出資口数の証明証書にすぎませんので、株券等の有価証券とは異なり売買の対象となるものではありません。

 出資証券を紛失した場合は、すみやかに紛失届を提出してもらい、再発行します。

 

加入後の増資

 加入後に、組合員より出資金の増口(増額)の申出があった場合は、組合員より「出資増口申込書」を提出させ、「出資金(増資)払込請求通知書」により、増口(増額)しようとする組合員へ通知し、出資金の払い込みを請求します。

 出資金の払込完了後、出資証券を発行している組合の場合は、出資証券を追加発行することとなります。したがって、増資した組合員は既存の出資証券に加え、追加で発行された出資証券の2通を保有することとなります。

 

組合員名簿と出資台帳(組合員台帳)の整備

 組合は、各組合員の氏名又は名称、及び住所又は居所、加入年月日、出資口数・金額・払込年月日を記載・記録した「組合員名簿」を作成し、主たる事務所に備え置かなければなりません。
 組合は、組合員及び組合の債権者から閲覧・謄写の請求があった場合には正当な理由がないのにこれを拒むことはできません。
 また、各組合員の出資金の増減等を明らかにするためにも、組合員台帳を兼ねた「出資台帳」を作成するとよいでしょう。

 

「個人企業」の組合員が「法人企業」へと組織変更した場合の手続

 組合員である「個人企業」が、「法人企業」である株式会社に代わることは、個人企業の脱退と、株式会社の新規加入という2つの行為を含んでいます。
 原則的には、個人企業には、事業の廃止に伴い持分払戻請求権が生じ、組合は、この請求に応じ脱退の手続をとることが必要となります。
 また、法人である株式会社を組合に加入させるには、株式会社から加入申込が必要であり、この申込みに対する組合の承諾が得られた後、株式会社は組合に対して出資金の払込みを行うこととなります。
 しかし、個人企業と法人である株式会社が、実態的にみて併存するようであるならば、組合員である個人企業は、組合の承諾を得た後、法人である株式会社に持分を譲渡して脱退することが可能です。この場合には、譲り受けた法人は当然に組合員となり、出資金の払込みは必要としません。